反面世界
『子供を愛さない親なんていない』
母が言った。
私も、そうであればいいと思う。
でも、この世界には。
子供を物や道具としか扱わない人間や、親を諦めなければいけない子供達がいることを知らなければならない。
理想論は、過剰に誰しもが追い求める心理だろう。
その子達がどれほどの心のキズがあるのか知れないのに、理想論だけ押し付けても理解できない。
だって、当たり前のはずの愛情を注いでもらってない。
そんなこと味わったことのない人間に、抱きしめる以外なにができる?
愛し方は、自分で学ばなければならない。
その道は、辛く、険しく、孤独で。
まだ同じ境遇にいる兄弟達がいる人は、『守る』という自分なりの愛情を見つけることができる。
きっと、未来は来ると信じられる。
親を諦める…
私には到底分からない痛みだろう…
でも、現実世界。
私は、救われてる。
私が今、娘も彼も母も自然に愛せるのは。
ちゃんと愛情の中で育ってきたんだと。
過剰な愛情だったかも知れない。
吐き違えた愛情だったかも知れない。
だからわがままなくせに涙脆くて、いい加減なくせに寛容で。
相反する何人もの自分が混在してて。
目を塞ぎ、耳を塞ぐ。
そして見据えろと叱咤して、聞く耳を持てと促す。
物事を一方から視るのは危険で、他方から視過ぎては二の足を踏む。
世界中が幸せになるなんてのは夢のまた夢。
なのに、そうありたいと願う人達が居て行動して。
誰かは嘲笑い、誰かは足を引っ張って。
誰かは背中を押し、誰かは手を差し伸べる。
みえるひと
みえないひと
それぞれが、それでもここに足をつけて生きている。
幸せはそこに有るのに、探して見つからない。
時々、早く大人にならなきゃいけない子供が居る。
早く、たった一人の誰かが気づいて、抱きしめてあげられればいいと。
切に願う。
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